日本ニュース 戦後編 第155号
1948年(昭和23年)12月28日
[1]第四国会解散へ 01:06
12月20日の国会。夜11時過ぎ衆議院は再開、給与法案の政府修正案が提出されました。それが人事委員会にまわっている間、本会議は休み。熱心な傍聴者は居すわって待っています。翌朝9時、野党が修正して6,307円の新給与法案は通過。第4国会は12月23日夜11時解散となりました。
<議長>
起立多数、よってその他は委員長報告のとおり決しました。
[2]スト中止勧告と労組のうごき 01:05
電産の川口委員長らは、12月22日、総司令部を訪問。日本経済安定のための9原則に基づきストライキ中止の勧告を受け、次のように語りました。
<川口委員長>
ヘプラー氏の希望される事態が、自然の結果として起こるよう期待しているが、このためにはなお西部会社の誠意ある態度を要求するとともに、組合は既定の方針と毅然たる態度で進むものである。
その日、続いて電産は団体交渉に入りましたが、23日現在まだ解決にいたりません。一方、私鉄総連合は、東武電鉄を除き勧告にそってストライキを延期、この二つの組合の動きが注目されています。
[3]ジフテリア問題その後 京都 01:15
12月14日の京都ジフテリア問題の街頭録音では死んだ赤ちゃんのお母さんもマイクに立ちました。11月初めから被害者はあとを断たず、まだ132名が入院中で、重症の者はマヒ症を起こし、12月23日現在、すでに65人の赤ちゃんが死亡しました。この問題について林[譲治]厚生大臣は次のように語りました。
<林厚生大臣>
ご遺族に対して申し訳ないと考えています。それで今後は再びそういうことのないようにいろいろな手段を講じてみたいと考えています。
予防注射は当分中止となっていますが、予防医学研究所ではモルモットに試験をしています。
[4]平沢公判ひらく<時の話題> 00:49
帝銀事件容疑者平沢貞通被告の裁判は、12月20日午前10時、江理口裁判長担当で開かれました。傍聴席は超満員。平沢被告は帝銀犯人ではないと主張しました。
<平沢被告>
私は調書の中では大変に犯人にされております。しかし、私はあの犯行は行っておりません。なぜ犯人でないのに犯人の自白をしたか、ご想像がつくと思います。
[5]引き揚げ寮焼く 東京<時の話題> 00:37
12月18日朝、東京·赤坂、元(近衛)三連隊跡の引き揚げ者寮から出火。木造2棟35世帯が丸焼けとなり、おばあさんが一人焼け死にました。ここにいたのはみな体一つの引き揚げ者ばかりで、この133人の気の毒な状態が同情をひいています。
[6]ツルの入れ歯<時の話題> 00:41
くちばしの折れた上野動物園のナベヅル。かわいそうなので、東京大学比較咀嚼論の権威、秋山博士はさっそく人間並に型をとり入れ歯を作りました。くちばしは銅とアルミの合金に合成樹脂をかぶせたもの。はめこむところは銀の合金です。暮れの18日にこの入れ歯をはめました。ツル君、大得意です。
[7]仁王様に注射 奈良<時の話題> 00:28
奈良東大寺にある鎌倉時代の国宝、仁王様が、12月16日から京都美術専門学校宮本カズオ氏の注射をうけています。これは表面に塗られた胡粉の色模様がはげ落ちないようにするのだそうです。さすがの仁王様、痛そうです。
[8]歳末 街の表情 01:36
今年もおしまいになりました。師走の街はさまざまの表情を見せています。異様な風体でてんやわんやと踊り回っているのは大蔵省の税金を納めましょうという宣伝。そういえば暮れの話題は税金でした。税務署はまけてほしい人や聞きにきた人でいっぱい。だが税務署は強硬に差し押さえをやるという手厳しい構えです。
この浮世の冷たさなどどこ吹く風かと人形はくるくると無心に踊り、そんな中で23日には7人の戦争責任者の絞首刑が終わったというあわただしい号外。警視総監はものものしいいでたちで巡視。こうした激しい現実のうちに今年も暮れようとしています。では皆さん、来年までさようなら。
