日本ニュース 戦後編 第132号
1948年(昭和23年)7月20日
[1]霧の季節 00:57
北の国境線近く、北海道花咲半島[根室半島の別名]の沖合は、6月から8月にかけて深い霧に閉ざされます。この霧の中で名物のコンブ取り。ナガシリコンブ、またマコンブと呼ばれるこれらのコンブは、根室を通って遠く本州へ運ばれます。
[2]犯罪 街を横行 02:06
街にはなかなか犯罪が絶えません。夏時をねらうスリは盛り場にうようよしています。上着を抱えてうろついているのがスリです。こうした現行犯は日に数10件あるそうです。
次はしめて130万円の偽札を作り出した事件。下が偽物、上が本物。これがその犯人。写真複写による偽札づくりでした。
さらに、ばくちの検挙。花札利用の鉄火ばくち、まさにたけなわというときに御用。くりからもんもんの常習犯の中には女の人もいました。ぞろぞろと警視庁へ。
そしてまだつかまらぬ帝銀事件。新盆を迎えて遺族は語りました。
<記者>
帝銀の犯人がですね、なかなかつかまらないのは。
<遺族>
毎日、新聞の来るのを楽しみにいたしておりまして、一日も早くつかまえていただきたいと思うのが念願でございます。つかまりますまでは、本当にわれわれは…。
注目のまと捜査本部。堀崎捜査課長はどんな秘策があるのか。毎日汗を流して目白署に通っています。
[3]アイケルバーガー中将 近く退役 横浜<時の話題> 00:23
アメリカ第8軍司令官アイケルバーガー中将は、今度アメリカへ帰ることになりましたが、7月10日、中将に対してベルギーからの勲章贈呈式が横浜で行われました。
[4]あたるか井上地震説 秩父<時の話題> 00:29
8月ごろ秩父地方に地震があるという中央気象台井上博士の警告に、埼玉県小鹿野町(おがのまち)一帯では、今から荷造りの準備をしている人たちもあります。石灰岩層の多いこの付近はほうぼうに断層が見られます。
[5]回虫追放 大阪<時の話題> 00:27
日本人の8割には回虫がいるといわれますが、戦時中アメリカでできていた回虫駆除の新薬ヘキシールレゾルチンが日本でもできるようになりました。子どもに飲ませている学校もありますが、試験をするとコロリと回虫が動かなくなります。
[6]せまいながらも 生活設計 01:27
おなじみの漫画家清水崑氏が描く当今住宅風景。狭い部屋ではこういう方法もあります。バスを器用に利用している人もあり、貨車をそっくりちょうだいした住まいもあります。だが一方、こんなふうでろくろく寝るところもない人々は、東京都の都営住宅抽選会に目の色を変えてどっと押し寄せました。当たるか当たらないか息づまる一瞬。この都営アパートに入った幸運者は600人に1人という割合でした。合理的なのはやはり組み立て住宅。あっというまです。狭くても十分気持ちよく住めます。
[7]予算は通過したけれど 01:57
予算が通った国会は、これで当分お休みです。守衛さんたちはボール投げ。
さて、郵便局の窓口では、通信料金の値上げで、第1日は相当混雑しました。
鉄道料金も東京·鹿児島間は金1千円也と決まりました。
それから主食も値上げ。
<野田物価庁次長>
精米10キロ現在148円50銭を266円。米麦10キロ127円を251円。小麦粉10キロ131円50銭を260…。
上がるのは物価ばかりではなく、寒暖計もぐんぐんのぼり、入道雲も現われて、いよいよ本格的な暑さです。電車の中はむせ返るような暑さ。これはたまらぬという人々がみな海水浴に出かけたので、海岸はまさにイモを洗うようです。その中をアイスキャンデーを売る学生もいて、あれやこれやと大変きびしい夏になりました。
