日本ニュース 戦後編 第127号
1948年(昭和23年)6月15日
[1]いよいよ核心をつく 不当取引委員会 01:26
6月5日の不当財産委員会。
<武藤委員長>
個人のものですか。
<森戸文相>
それは森戸個人のものとして受け取ったものです。
<石田委員(民自党)>
党の幹部としての個人というような種類の収入であろうとも、これは当然政党の収入と考えなければならないという判断が決定的であります。
<西尾副総理>
西尾…。
(漫画)
「古池や蛙飛び出す水の音」
土建屋さんのおいでおいでに、現われいでたる大ガマ1匹。投げ出す大金を大口開けて一のみ。おなかがいっぱいになったので、さてかえろかえろ。このガマ、少々怪しいと叩いたところ、ほんの少しだけぽんと吐き出しました。
[2]早慶戦 六大学リーグ 01:27
早稲田1勝のあとをうけて早慶第2回戦、6月6日の神宮球場。押すな押すなで怪我人を出す騒ぎのうちに、ファンは続々球場に詰めかけました。好天気と日曜に恵まれて超満員。第2回、早稲田の攻撃。3点をあげてなおフルベース。バッター石井、ライト前にクリーンヒット。ワンバウンド、ライト取って懸命のバックホーム。この間、島田、野見山相次いでホームイン。早稲田のつるべ打ちに、平古場、早くも退場します。替わってマウンドを守るのは木村。バッター磯野、打ちました、ショートゴロ、石井2塁から3塁を回ってホームイン。7点をあげて、さらにバッター荒川、ショートゴロ、関原とって2塁投球アウト。返す球1塁、これもアウト。ゲッツー。チェンジ。7点リードされた慶応、4回の攻撃。ツーダン[ツーダウン]フルベース。バッター徳丸、センター前ヒット。3塁のランナー岩中、2塁の山村、くつわを並べてホームイン。慶応2点を返し追撃しましたが及ばず、12対10。早稲田はストレートで慶応を破りました。
[3]日本ダービー 府中<時の話題> 00:55
各馬一斉にスタート。先頭はハマカゼ、続いてクリヒロ、ミハルオーの順。6月6日、府中競馬場第15回ダービー。半マイル標付近、ハマカゼ遅れてリュウザンがトップになりました。第4コーナー、いよいよホームストレッチ。ミハルオー、インサイドから一気に抜けついにトップを奪いました。続いてリュウザン、ヒロトシ。ミハルオー栄えの栄冠を獲得しました。
[4]八年振りにアメリカ現代劇 東京<時の話題> 00:42
アメリカ現代劇が、終戦後初めて上演されることになりました。
<舞台脇の解説の男性>
こっちには、いつもの舞台装置というものがあります。装置や小道具の助けをなるべく少なくしておいて、俳優の演技と皆さんの想像力にできるだけ多くのものをゆだねたいと思います。
ソーントン·ウィルダー作『わが町』(1938年)というこの劇は、アメリカでピューリッツァー賞を受けた優れた作品です。
[5]祈れども雨ふらず 東京<時の話題> 00:49
私が神様に祈ればたちどころに雨が降りますと、木村モリタロウという先生、東京朝日新聞社の屋上でお線香をあげて熱心に祈り始めました。6月6日のこと。空を仰いで待てど暮らせどかんかん照りの上天気です。
<記者>
これはどのくらいの時間で降り出すんですか。
<木村>
降り出すのは、もうわずかです。すぐ雲はかかってきますよ。
<記者>
どっちのほうにかかってくるんですか。
<木村>
ただ西の風で来てね、雲が来てね、東の風に変わると雨になっちゃうんです。
だが、結局一滴も降らず、神様は全然くたびれてしまいました。
[6]“一兆一千億円”をめぐる- 02:20
夏が来ました。6月4日の議会では、北村大蔵大臣の1兆1千億の財政演説。
<北村蔵相>
鉄道通信両特別会計に対しましては、一般会計から130億円の運営収支不足金の繰り入れを行い、かくいたしまして、鉄道運賃の値上がりは、空港税を含めて、現行料率の3.5倍、通信料金の値上がりは現行料率の4倍にとどめることとしたのであります。
暑くなったのでだれでも眠いと見えて、どちらを向いても昼寝です。
すっかり夏景色の銀座では、運賃値上げに賛成か反対かという放送局の街頭録音。
<男性>
絶対反対。
<アナウンサー>
そのすかし眼鏡の方、どうです?
<男性>
上げないことです。
<アナウンサー>
上げないことねぇ。皆さん上げない方が多くなってきたですな。おじいさんどうでしょう。
<男性>
絶対反対ですね。
<アナウンサー>
絶対上げないんですか。そちらのお嬢さん、どうです。
<女性>
全然上げてもらったら困ります。
<アナウンサー>
あなたは通勤ですか、どこかに。
<女性>
通勤です。
<アナウンサー>
パスが上がったらお困りですな。
<女性>
ええ。
<アナウンサー>
それでというわけですかな。
<女性>
そういう意味ではありませんけど、やはり鉄道運賃が上がりますと…。
暑くても、街は相変わらずの人出で、とんでもないビルの3階では、これでもかという東京都の貯蓄奨励の宣伝ジャズ。激しい時の動きのうちに、なにしろ暑くなりました。
