日本ニュース 戦後編 第97号
1947年(昭和22年)11月18日
[1]隠退蔵物資はどうなったか-大造事件- 大阪 01:37
元大阪造兵廠管理部総務課長河本利夫氏がもたらしたいわゆる河本情報によって大阪造兵廠を中心にまたもや莫大な物資が隠匿、不正配分、横流しをほしいままにされていることが明らかになりました。まだ多量の退蔵物資、主に鉄材が隠されています。
そこで大阪地方検察庁では直ちに活動を始め、問題の河本氏が召喚されました。
<記者>
「ちょっと河本さん、今度情報が入ったらどうしようとされますか」
<河本>
「軍が、終戦後に、民間のヤミ業者と結託して、そして軍の幹部が自分だけよくなろうというような考え方がこの非常な混乱をきたした原因じゃないかと」
さらに一切の書類を押さえ、元大阪鉄道局経理部特殊物件係長渡辺鹿太郎氏そのほかに対して真相を追及しています。しかし、すでに300億円という莫大な物資がこの大阪造兵廠から姿を消しており、それが関西一円にばらまかれたといわれています。
[2]耕作地を得た人 神奈川 00:46
農地改革法が施行されて初めて地主から耕作地を買い入れた人は横浜市戸塚区[現·瀬谷区]瀬谷町の大塚ショウゾウさんです。
<記者>
「地主が小作人にヤミ値で土地を売ったというので問題になっているところがあるようですが、ここではどうですか?」
<大塚>
「ほかではそういうことがありましたかもしれませんが、この土地としてはそういうことはありませんようですよ」
こうして反当たり360円の公定で畑を買った大塚さんは張り切っていもを掘っています。
[3]南被告の段階へ -東京裁判- 00:44
東京裁判のウェッブ裁判長は11月10日、夫人の見送りをうけながらオーストラリアに一時帰国のため、東京羽田を出発しました。
この日、市ヶ谷の法廷では、アメリカ代表判事クレーマー少将がウェッブ氏に代わって裁判長席につき、陸軍大臣当時の南[次郎]被告が満州事変の発生に関係があったかどうかについて審理が行なわれました。
[4]軍艦住宅 呉<時の話題> 00:35
かつての帝国軍艦伊勢。住宅難に弱った西原正三さんという人がそいつを見つけて住み込みました。すばらしい鋼鉄の家です。
[5]百円札に御注意 東京<時の話題> 00:41
印刷工場から100円札の6枚続き2000枚、しめて120万円を盗み出した男。
<記者>
「どういうためにそういうことをされたんですか?」
<盗みの犯人>
「はい、(聞き取り困難)働けど働けど、食べる物に追われて、そこへもってきて弟がそういう話を持ち込んだんです。つり込まれてやってしまいました」
上が番号なしの問題の札、まだ16万円行方不明。
[6]乳牛に感謝 北海道<時の話題> 00:23
北海道八雲の牧場の人々は、お乳をたくさん出してくれた牛に感謝しましょうと、10月25日、小雨降る中で盛大に牛まつりを開きました。
[7]白秋忌 福岡·東京 00:50
詩人北原白秋氏が亡くなってから5年、故郷の福岡県柳川町では11月2日、記念碑建設の鍬入れ式が行われました。
(「この道」を歌唱する女性)
東京では11月10日、日比谷公会堂で白秋を偲ぶ会が開かれました。
[8]木炭のゆくえ 02:03
(大阪)
大阪淀川べりの葦を、このごろ、の大阪刑務所の囚人たちが大勢でしきりに刈り取っています。これは冬をひかえて燃料組合からの注文に応じて炭俵を作る下請け作業です。このようにして木炭の生産は非常に急がれています。
(鳥取)
鳥取の山奥、生山では炭焼きたちが山に立て籠もって奮闘していますが、ここでは炭俵が足りなくて大事な米俵に炭を詰め込んでいるくらいです。
(福島)
駅近くには木炭の山。しかしこれほどの木炭がいっこうに都会へは送られてこず、配給がないので買い出し客が炭の生産地へ殺到しています。1俵300円。
冬を目の前に北風はいたずらに寒く。炭はいつくるのか。
(埼玉)
機関車の落とす燃えかすを拾う人々の姿がほうぼうの駅で目立つようになりました。
