年月日:1942:19420622:19420622-t-jpn-dea-002-日本新闻



日本ニュース 第107号

1942年(昭和17年)6月22日

[1]ビルマ復興 02:08

ビルマ独立連盟の勇敢な指導者、元首相バーモ博士とキンママ夫人に、過去の血涙を洗う喜びの日がやってまいりました。一昨年8月、独立の狼煙(のろし)をあげんとして、暴戻イギリスの手に囚われの身となったバーモ博士は、皇軍のビルマ進攻とともに獄を脱してさすらいを続けるうち、必死になって博士を捜し求めた我が軍に救われ、6月4日、飯田最高指揮官によって、中央行政機関設立準備委員会委員長にあげられたのであります。

マンダレーの南を流れるイラワジの支流、シンゲ河にかかった鉄橋は、皇軍の猛追を恐れた敗敵重慶軍によって4月下旬破壊されましたが、雨季を前にして復旧部隊の昼夜を分かたぬ作業、功を奏し、5月30日見事に開通。飯田将軍の臨席を得て、盛大な開通式が行われました。これでラングーン、ラシオは完全に結ばれたわけで、ビルマの復興は着々として進んでいきます。

[2]上海諜報団検挙 02:58

これは上海を根城に、支那事変発生以来、もっとも悪辣(あくらつ)なスパイ行為を繰り返した国際諜報(ちょうほう)団、アメリカ人ポーエル一味を一挙に覆滅すべく、防弾チョッキに身を固めて、上海憲兵隊員が命を投げ出しての活躍とその実際をおさめた珍しいニュースであります。真夜中に彼らの不意を突いて行われた検挙は見事成功し、日本に対する憎むべき諜報、宣伝、謀略をはかった証拠物件の中には、時計爆弾やピストルが多数発見され、極めて大がかりな諜報(ちょうほう)団であることを物語っております。

検挙は夜を日に継いで行われ、探偵小説をそのままに、上海の各所に散在する隠れ家を襲って、根こそぎ重要人物を捕まえることができました。その第一人者、チャイナウィークリーレビュー主筆、アメリカ人ジョン·P·ポーエル。ポーエルらの手先となって働いた支那人も多く、直接、間接の関係者を数えると約6000名に達したのであります。スパイの一人、オリエンタルアフェアーズ主筆兼評論家、イギリス人ヘンリー·ウッドヘッド。上海イブニングポスト記者、アメリカ人ホッパー。以上の中心人物は、動かしがたい証拠物件に自らの裁きを託して、近く軍律会議にふせられることになっております。

[3]アリューシャン列島強襲 05:29

大本営発表、東太平洋全海域に作戦中の帝国海軍部隊は、6月4日アリューシャン列島の敵拠点、ダッチハーバーならびに同列島一帯を急襲し、4日5日両日にわたり反復、これを攻略せり。荒波狂う北海の洋上に堂々船団の列を連ねて、新たに驚異的一大作戦を展開せんとする皇軍の精鋭。

目指す北洋の島々にアメリカの野望は無限に膨れあがろうとする。アジア大陸から北アメリカ大陸に飛び石のごとく連なるそのアリューシャン列島には、今、白夜の季節が訪れ、ようやく雪も解けて、ツンドラの進撃は非常な困難を伴うであろう。しかし、時は今である。決死の覚悟も固い我が海軍陸戦隊の精鋭は、軍靴にたっぷり油を塗り、アメリカの我が本土に対する攻略的企図を微塵(みじん)に粉砕せんと、暁(あかつき)かけてアリューシャンの島々に襲いかかった。

果たして、雪解けのツンドラ地帯の進撃は困難を極め、歩くことが一つの戦いでさえあった。そのうえに丘また丘、ほとんど平坦地とてはない。

敵はいち早く姿を消し、逃げ遅れた守備兵は我が軍の手に捕らえられた。これを道案内としてさらに進撃し、我が不屈の大和魂があらゆる困難を征服して、島内の戡定(かんてい)を驚くほど迅速におし進めた。

アリューシャン列島、その東の端にはアラスカの濃霧の地とともに、北辺のアメリカ軍根拠地たるダッチハーバーが、はるかにパナマ、ハワイと三角形を形成して、日本攻略の秘策を練りつつあったのである。したがって、点々とアメリカ大陸の危機を浴びた列島には、アメリカは全力を尽くして軍事の強化を試みつつあった。我は機先を制して、雄大なる戦略を展開。逆にアメリカ本土を制圧せんとする体制をとったのである。アメリカの狼狽(ろうばい)はけだし大いなるものがあるであろう。アメリカ本土近し。大軍艦旗、北海の朝風に翻って将兵の感激胸に溢れ、はるかなる祖国日本の空に銃剣を捧(ささ)げて帝国の万歳を祈る。見よ、アメリカが日本侵攻を夢見たアリューシャンの拠点に、海の精鋭は勇姿を浮かべて待機する。世界の耳目を聳動(しょうどう)し、米英をして顔色なからしめた空海陸一体、戦史未曽有の雄渾(ゆうこん)なる共同作戦は、かくて素晴(すば)らしき成功のうちに押し進められている。

年月日/1942/19420622/19420622-t-jpn-dea-002-日本新闻.txt · 最后更改: 2024/07/14 00:41 由 127.0.0.1