日本ニュース 第101号
1942年(昭和17年)05月12日
[1]新政治力を集結 東條首相各界代表を招請 08:18
帝国臣民の厳たる結束振りを示して、翼賛選挙も滞りなく終わりましたが、5月07日、東條首相は阿部信行大将ら70名を首相官邸に招き、新政治力結集に関して種々(しゅじゅ)懇談いたしました。東條内閣総理大臣。阿部信行大将。安藤翼賛会副総裁。后藤中央協力会議長。席上、東條首相は立って次のごとく述べました。
「本日、突然お招き申し上げましたところ、ご多用中にも関わりませずご来駕(らいが)に相成り、まことにありがとうございました。今回、第21回総選挙が施行せられたんでありまするが、大東亜戦下にあえて行われました総選挙の意義は、国民の間によく徹底、戦時下幾多の不便ありしにも関わらず、極めて名誉にして熱意ある選挙が行われたのであります。その結果、棄権率のごときも非常に少ないことは、高価のためまことに御同慶(ごどうけい)に耐えない次第であります。かくて我が国民の大東亜戦争遂行に対する鉄石の意思はいかんなく中外に闡明せられたのであります。この事実は世界に対し、我が国民必勝の信念を表明するとともに、既に緒戦に破れ、わずかに我が国内体制の動揺に一縷(いちる)の望みを託する米英および重慶に対し、無言の重圧を加うるものであります。これ、もとより全国民の純一無雑(じゅんいつむざつ)なる政治的熱意によるのでありまするが、また一面におきましては、皆様方のごとき各方面の指導にあたられる方々のご尽力によるものでありまして、ここに改めて御礼を申し上げる次第であります。御稜威(みいつ)のもと皇軍将兵の勇戦奮闘により、大東亜戦争は早くも赫々(かくかく)たる大戦果をもって、緒戦の大成功を獲得いたしました。しかしながら、申すまでも無く、戦いはまさにこれからであります。しかして、我々は緒戦の大戦果をますます拡充いたしまして、積極的に作戦を敢行いたしまするとともに、多年広大なる大東亜全般に渡って、大建設を行わねばならないのであります。官民、相ともに真に一致協力することも緊急なることは、今日より大なる時はないのであります。ここにおいて政府はこの歴史的なる総選挙の終了を機として、全国民の団結をいよいよ強固に、大東亜戦争完遂と翼賛政治体制の確立とを目指す挙国的政治力の結集を衷心より希望するものであります。まことにこの政治力の新しき結集こそ、現下の急務であると私は確信するものであります。なお、先に申し上げましたる通り、幸いに皆様方のご尽力と国民の熱意とによって、有意義なる総選挙が行われたのであります。私はこのたび選出せられた議員諸君が、従来のいろいろの行きがかりを一手にして、大東亜戦争完遂に、翼賛制体制確立の熱意のもとに、進んでこの結集に参加されんことを期待しておるものであります。かくてこそ、今回の総選挙の真の意義が発揮せられるものと私は確信いたすのであります。今日、皆様方、各方面先達の方々のご来駕(らいが)をわずらわせたのも、この政治力の結集の方途に関し、ご教授をお願いいたしたいという趣旨に出たのであります。何とぞ皆様方におかれましては、以上申し述べましたる私の心持をおくみ取りくだされ、この際、強固なる政治力結集をいかに実現いたしまするかにつき、十分のご工夫とご尽力とを賜り、もって国民団結の体制確立のためにお力をいたされんことをお願いいたす次第であります。簡単ながらこれをもって私のご挨拶を終わります。」
