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日本ニュース 第81号

1941年(昭和16年)12月20日

[1]鉄石一丸の戦時議会 06:08

<東條首相>

「そもそも帝国が今回、南方諸地域に対し新たに行動を起こすのやむを得ざるに至りましたのは、米英の暴政を排除して大東亜諸地域を明朗なる本然の姿に復し、新たなる大建設を行わんとするにほかならないのであります。

大東亜数億の住民もまた帝国のこの真意を了解して、無益の抵抗を行うことなく、むしろ我等(われら)の同志として速やかに帝国の企図する大東亜共栄圏建設の聖業に参加するに至らんことを切望してやまんの次第であります。

なお、この機会におきまして私は開戦以来の国民の熱誠あふるる愛国の至情に対しまして衷心よりの感激を表明するものであります。」

東條首相に次いで東郷外務大臣はアメリカ、イギリス両国政府の不正義が今日の事態を招来した理由を説明し、アメリカ、イギリス屈服するまでは断じて矛を収めず、日独伊三国共同して世界新秩序を建設せんことを強調。

<賀屋大蔵大臣>

さらに賀屋大蔵大臣は、我が経済界は極めて堅実、豊かなる南方資源を控えて洋々たる前途を望むに至ったと必勝の確信を披瀝(ひれき)。

<嶋田海軍大臣>

「12月8日開戦以来の海軍作戦の状況につき大要説明致します。

申すまでもなく、このたびの戦争こそは洵(まこと)に帝国有史以来の重大事でありまして、帝国海軍はかねてより今日あるに備え、ひたすら恃(たの)むべき実力の充実、錬成(れんせい)に万全を期して参った次第でありますが、ここにかしこき御詔勅を拝し奉り、将兵一同は真に皇国興廃の重責を感じ、全軍ただ一死国に奉ずるの決意をもって人智人力の限りを盡(つく)さんとする熱意に燃えておるのであります。」

『陸海軍に対する感謝 並びに戦死者に対する敬弔決議案 田子副議長』

<田子副議長>

「今や皇国の隆替(りゅうたい)、東亜の興廃かかってこの一戦にあり。我が国民たるもの建国2600年の光輝ある歴史と祖先の遺蹟(いせき)とに鑑み、敵のキョウフ(富強か)を畏れず劣弱を慢(あなど)らず、億兆一心鉄丸となり、よく長期の艱苦(かんく)に耐え、東亜永遠の平和を確立し、もって大東亜戦争の目的を貫徹せずんばやまず。今後、皇軍将兵諸士の責務はいよいよ重く、その労劬(ろうく)益々多かるべし。

衆議院は特に院議をもって陸海軍将兵諸士の意向を感謝し、その勇健を祈り、併(あわ)せて忠肝義膽(ちゅうかんぎたん)鬼神を哭(つ)かしむる殉国の英霊に対し深甚なる敬弔の忱(まこと)を表す。右決議す。」

「本決議案は正に国民の熱誠あふるる感激の総意を表したものでありまして、提案の理由は本文に明らかでありますから、特に趣旨弁明を要せざるものと存知ます。

よって直ちに採決致します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。」

「起立総員。」

「よって本案は全会一致可決致しました。」

[2]馬来英陣急襲 01:27

南海の空に堂々の鵬翼を連ね、密雲を排してマレーの空をまっしぐら。コタバル、ペナン島を目指す壮烈の爆撃行。イギリスの宝庫インド、ビルマとシンガポールを結ぶ敵の要衝ペナン島は小なりとはいえジョージタウンの港を抱え、東亜侵略発祥の地として過去の栄華を誇っています。すなわち我が陸の荒鷲は敵軍事施設めがけて矢継ぎ早に巨弾の雨をたたきつけました。

続いて敵の大輸送船団を発見。瞬時にして6隻を撃沈。

さらに向かうマレー東岸コタバルの敵空軍基地。遥かに見える滑走路、一条の白線のごとく鮮やかであります。敵飛行隊は我が荒鷲軍の急襲に狼狽なすところを知らず、浮き足立って一機も飛び立つものなし。間髪を入れぬ猛爆は滑走路右側の敵兵舎を格納庫もろとも木っ端微塵に吹き飛ばしました。

[3]香港大攻略戦 03:31

香港の前衛基地、九龍へ。イギリスが支那侵略の本拠を構えて100年。その夢を破って決然立った皇軍は破邪顕正の軍を進める。開戦劈頭(へきとう)我が陸の精鋭諸部隊は神速果敢に国境を突破。

あまりの快速進撃に敵陣はもろくも崩壊。多数の捕虜を残して香港島へ逃走しました。

戦いを交えることわずかに4日あまり。我が軍は12月12日進軍、あたりを払う軍旗を先頭にイギリス覆滅の第一陣、九龍入城式を行いました。

皇軍入城の声に、市街の治安は即座に回復。安眠、いっこく(?)に支那民衆は蘇生の思いで慕い寄る。

香港の運命、既に定まる。あくまで武士道精神と温情に生きる皇軍はその厳然たる威容に接して、自ら案内役を申し出たイギリス婦人を伴って香港総督に大きく勧告の軍使をたてました。しかも英軍頑迷にして100万の支那住民の苦難を顧みず、我が勧告を排す。今は許すべからず。すなわち陸海緊密なる共同のもとに敵前上陸が敢行されました。

我が陸の荒鷲は香港周辺の要塞を強襲、これを全く沈黙せしめています。今や敵船団、すでに我が荒鷲陣の急追にあるいは沈没し、あるいは擱座し、寂(せき)として声なし。

黒煙をあげて燃え続けるガソリンタンクの姿。100年の繁栄をほしいままにし、難攻不落を豪語する大要塞、香港も炎々たる業火に包まれ、陥落前夜の苦悶にあえいでいます。

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