日本ニュース 戦后編 第61号

1947年(昭和22年)3月11日

[1]選挙戦近づく 01:14

いよいよ4月には、村長から衆議院議員に至るまでのいろいろな選挙が行なわれることになり、各派各政界は選挙の対策に血相を変えています。そのためか議会の出席率ははなはだ不良。満員の傍聴席を尻目に一部の議員さんたちは早くもおのおの選挙区に帰って立候補準備を始めたものとみえます。

それにひきかえ2月27日、銀座の街頭議会はなかなか盛会。放送局の街頭録音に進出した金森国務相は公職追放について一般大衆と猛烈な質問戦。

<発言者·男性>

「金森さんはいろいろもっともらしいことを言いますけれども、どうせ民主主義者を追放にかけようなどという魂胆がはっきり出ているじゃありませんか」

<金森国務相>

「それはまったく心外なるご質問だと私は思います。私はこの追放令というのは最も的確に最も正確にですね、やっておるのであります。したがって、この追放の決定をするのはだれがするかといえばですね、その基本たる考えを占めまするのは資格審査の委員会でありまして…」

[2]雨ざらしの芸術 00:37

東京上野の美術学校には、ギリシャ、ペルシャの彫刻、壁画をはじめミケランジェロ、ロダンなど世界的な作品の複製がありますが、戦時中、十分な手当てがされませんでした。そのため大切なミケランジェロの作品にも穴があいたり雨漏りのしみができたりしています。これらは世界各国の博物館から贈られた日本に一つしかないものだけに大変惜しまれています。

[3]カメラ訪問 高松宮と語る 01:01

財産税問題、臣籍降下などで各宮家ともいろいろとご多忙の様子です。御殿を同胞援護の洋裁所に開放された高松宮様は同胞援護会会長をしておられます。財産税だけでも1002万円といわれる高松宮様に3月03日本社記者はお目にかかりました。

<記者>

「同胞の援護について何か一つお話し願いたいのですが」

<高松宮>

「公の手で生活の最低限を保障するという見方は、大変けっこうなことだと思います」

<記者>

「それから殿下の財産税は」

<高松宮>

「あれじゃないか」

<記者>

「一部ではですね、今のような反動性の強い政府でなくてもっと民主的な政府を作らなければならんというようなことを言っておりますけれども、その点、殿下はどうお考えですか」

<高松宮>

「それはそうだよね」

[4]春は馬から 八王子<時の話題> 00:36

初の東京都競馬が3月01日八王子でふたを開けました。インフレ景気の面々が続々繰り込んでいます。第10レース、鞍ナンバー6のマコト号1着、騎手小林君は2万円獲得しました。

[5]勲章帯留となる 京都<時の話題> 00:15

京都のある娘さんの思いつき。勲三等瑞宝章が帯留となりおなかの真ん中でさん然と輝いています。

[6]小平公判はじまる 東京<時の話題> 00:24

03月03日の東京刑事地方裁判所、殺人魔小平義雄の第1回公判。写真は一切ご免と、小平は編笠の中に顔を隠して最后まで各社カメラマンに撮影させませんでした。

[7]今週の東京裁判 00:34

東京裁判は弁護団側の立証段階に入るとともに、外国カメラマンや外人記者の活躍が目立ってきました。いよいよ世界の注目を集めつつあります。03月04日、弁護側2番目の証人に岡田忠彦元衆議院議長が立ち、議会と政府などの関係について述べ、暗に東条被告の独裁制を認めた点が注目されています。

[8]事故の原因は? 危険な国鉄の現状 02:00

去る2月25日の八高線列車転覆の現場では、28日供養が行なわれました。一方、実地検証は浦和検事局の手で当の乗務員を同行して連日行なわれましたが、直接の原因は運転手の過失と3月04日認定されました。

<浦和検事局 小幡検事>

「現場の検証や機関士の取り調べをいたしました結果、レールや連結器にはなんらの異常が認められず、結局、機関士の運転上の過失に起因することが判明いたしました」

しかし、事故の起こる危険はまだまだほかにあります。機関車の多くは古くて痛んでおり、速度計のないものや壊れているものが多く、乗務員は勘で運転しているといわれています。ブレーキも車輪をぴったりと押さえず隙間ができているので効かないものがあります。資材不足がその原因です。レールを測るとそのすり減ったさまはひどいもので、表面が減っているばかりでなく、このように原型をとどめないくらいのものがあります。枕木が腐っています。そこにも脱線の危険があります。東京鉄道局では昼夜兼行で直していますが、事故をなくするには、なによりも資材が闇に流れないように、インフレが資材の生産を妨げないようにすることが第一だと現場の人たちは言っています。