1941年(昭和16年)4月08日
[1]天覧の栄に輝く興亜馬事大会 01:54
天皇陛下には4月07日、代々木練兵場に臨ませ給い、陸軍農林両省主催の興亜馬事大会の各種演技を叡覧(えいらん)あらせられました。陛下にはかしこくも御徒歩にて玉歩を進めさせ給い、御道筋に整列する優良種馬、競走馬、模範軍馬、功労馬を天覧あらせられました。
御政務、御軍務ことのほか御多端に渡らせ給う陛下の馬政国策の上にたれさせ給う御叡慮のほど、誠にかしこき極みであります。
陛下にはさらに第一会場の玉座に臨御。陣貝の音につれて絢爛(けんらん)の野馬追が福島県相馬地方の代表によって甲冑(かっちゅう)姿もいかめしく、花火に打ち上げられた白い神旗をおって豪快に開始され、旗指物を打ちたてて怒濤(どとう)のごとく押し寄せる壮烈さはその昔、戦国時代の大合戦をしのばせるものあり。大会はいよいよ最高潮に達しました。
かくて平時を問わず、戦時を問わず、もの言わぬ戦士、馬への国民的認識を高めました。
[2]畏くも皇后陛下白衣の勇士を御慰問 01:01
皇后陛下には春陽うららかな4月01日(いちじつ)、神奈川県高座郡大野村の臨時東京第三陸軍病院へ行啓あそばされました。
陛下には中央運動場に出でさせられ、白衣の勇士の奉拝に応えさせられつつ、正面一段高き御台上につかせ給い、高木軍医少佐指揮による独特の各種医療体操を台覧あらせられ、興亜の聖戦に傷ついた幾多勇士たちが再起奉公の一念に燃えて演ずる溌剌(はつらつ)たる体操を、ことのほかご熱心に御覧あそばされました。
[3]大陸の街から村へ宣撫班の紙芝居 01:27
かげろう燃える丘のかなたから美しい笛と胡弓の調べが春風に乗って聞こえて来ました。これは漢口軍報道部ソノベ部隊特務部、武漢特別市政府班共同の宣撫(せんぶ)班の紙芝居の一行です。慰安と娯楽に乏しい奥地農村にこの歌劇団の訪れは農民達を非常に喜ばせております。
農民の宣撫(せんぶ)と教育を楽しい音楽と笑いのうちに教え込み、特に次の中国を背負って立つ少国民におもしろい紙芝居の実演を通して童心に訴え、新東亜建設の理想をふき込もうというのです。
こうして大陸の町から村へ、野を越え山を越えて宣撫(せんぶ)班の紙芝居は行きます。
[4]山間僻村へ学生診療班の活躍 01:06
時局下、国民体位の向上が叫ばれている折から、日本医科大学では春の休暇を利用して同大学教授中村博士指導の下に、診療班一行20名は、山形県の山村僻地(へきち)に医者のない村を訪れました。一行は保健疾病の実情を調査するとともに、3日間にわたり両村で、300余名に上る村民の診療と1千名に近い小学児童の健康診断に、文字通り不眠不休の活動を行い、患者の口からは賞賛の声が部落から部落へ伝わり、残雪をわらじに踏みしめて駆けつける者相次ぎ、非常な多数に上りました。
厳たる規律のうちに優しい医者としての診療班の活躍は、誠に頼もしいものがありました。
[5]空陸の精鋭猛攻南支援蒋路完封 01:37
最近我が軍の目をかすめ、南支沿岸一帯の援蒋ルートから続々抗戦物資を送り込み、春季攻勢に備えんとして狂奔する重慶軍を一挙に撃滅し、これが輸送路手段を完封すべく、我が荒鷲部隊は堂々南支の空を圧して爆撃に向かいました。
我が荒鷲の行くところ、的確なる爆撃は次々に敵が誇る堅塁を吹き飛ばし、濛々(もうもう)たる黒煙は断末魔の相貌を呈しています。
一方、空軍と呼応して、果敢なる敵前上陸を敢行した我が精鋭は一挙に敵の拠点に雪崩こみ、敵兵団5千を殲滅(せんめつ)。さらに逃げ惑う残敵を急追し、破竹の勢いをもって一気に潮陽県城に入りました。
かくて、南支沿岸一帯にわたる援蒋物資輸送の策源地を徹底的に完封し、応戦にあえぐ蒋政権に一大脅威を加えるに至りました。
[6]前線視察の英首相<バルカンに新戦火拡大> 01:01
バルカン戦線のドイツ兵に告ぐ。ついに、諸君の立ち上がるときは来た。ドイツの前進を阻むイギリスの最后の一兵まで殲滅(せんめつ)せよ。
4月06日早暁、ついにヒトラー総統は布告を発しました。かねて待機中のドイツ軍はバルカン方面司令官リスト元帥の指揮の下に直ちに行動を開始。ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアの三国から一斉にユーゴスラビアとギリシャに侵入。1千キロにおよぶ広大作戦が展開されました。
この情勢を招いたのは言うまでもなく、英本土上陸作戦を極度に恐れるイギリスであり、あるいは地中海に、あるいはバルカンに、独伊枢軸軍の矛先を転じさせ、欧州新秩序建設の妨害に大わらわであります。チャーチル首相はむろんのこと、その影に沿うごとくドゴール将軍あり。バルカン諸邦(しょほう)を飛び回るイーデン外相の活躍も幾多伝えられております。
[7]独、ユーゴ首脳会談<バルカンに新戦火拡大> 00:32
思えば、昨年11月20日、まずハンガリーを皮切りにルーマニア、スロバキアとバルカン三国が相次いで三国同盟に参加し、今年3月01日にはブルガリアが加わり、ついでツベトコヴィッチ·ユーゴ首相はベルヒスガーデンにヒトラー総統を訪ねて枢軸参加の体勢を整え、25日ウイーンで正式調印を終えたのでありましたが、今やイギリスの策動に乗ぜられ、調印直后に事態は急変を見るにいたりました。
[8]軍隊を閲兵するハンガリー首相<バルカンに新戦火拡大> 00:11
この間、和戦の岐路に立ち、自らの生命を絶ったテレキ·ハンガリー首相の悲劇を含めて、ドイツのバルカン無血制覇はその方向を転ずるに至りました。
[9]伊軍ギリシャ進攻<バルカンに新戦火拡大> 00:19
かくて戦火はすでに、イタリアの攻撃を受けて苦しむギリシャから拡大し、欧州の火薬庫バルカンはその名に背かぬ慌ただしさを見せています。されど、雪崩のごとく進撃するドイツ軍の前にはアメリカの援助もソ連ユーゴ不可侵条約も実質的に戦局を左右することはできないでありましょう。
[10]トルコ軍の分列行進<バルカンに新戦火拡大> 00:36
今や、残るところはわずかにトルコの一国。
閲兵に、分列に、軍備の威容を見せんとし、近代的装備に努力しつつも、戦火の真っただ中にいつまでその中立を維持するか。
ともあれ、このバルカンの新戦火は今次大戦の鍵を握るものとして世界の注目を集めています。